世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか (1)
世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか (1)美意識について書かれた本と言えば、山口周著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」であろう。長年効率を重視し利益を求めてきた自分にとっても耳が痛い内容であった。著者は今主流になっているサイエンスを重視するビジネスのあり方が行き詰っている現状を以下のように分析している。
1.論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある
2.世界中の市場が「自己実現的消費」へ向かいつつある
3.システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している
1については情報処理スキルが誰でも使えるようになったこと、すなわち「世界のコモディティー化」とその情報スキルそのものの「方法論としての限界」が関係している。
2の「自己実現的消費」では承認欲求や自己実現欲求を満たすことが必要となり、そのためにはそれらの欲求を刺激するような感性や美意識が重要になる。
3の状況では多くの問題が発生するが、それを防ぐためには明文化されたルールや法律を拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断するために「美意識」が求められる。
要するにこれからのビジネスシーンにおいては、これまでのサイエンスに基づく「スキル」ではなく、アートに基づく「美意識」が必要になるということである。